ICPのトークン設計と上場時の暴落事件を解説【全体像の基礎理解】

こんにちは。えいきち(@Eikichi_WLI)です。 

 

まず、ICPの上場から現在までの価格をごらんください。

CoinMarketCapより引用

 

最近ICPに触れた人にとっては、「え?大丈夫?SCAM(詐欺)銘柄なの?」と不安になるような価格推移であり、これで追いかけるのを止めてしまう人もいるかもです。

 

ところが、Internet Computer(以下IC)は将来性、技術力ともに有望なプロジェクト。

将来性としては、世界で初めての無制限容量&Webスピードで動作するL1ブロックチェーンを開発しつつ、超一流の投資家集団であるAndreessen Horowitz等から約160億円の資金調達を受けています。

技術面では、ICは一流の暗号学者や分散システム、プログラミング言語の専門家による5年間の研究開発の集大成であり、Dfinityは現在、約10万件の学術引用と200件の特許を取得しているようです(参考記事)。

 

では、なぜこのように価格が暴落して以降、伸びる兆しが全然無いのでしょうか。

これには、ICPのトークン設計と初期分配が関係しています。

そこで、この記事ではICPのトークン設計の全体像に加えて、ICPが上場時の暴落事件について解説します。

 

ICPトークン設計の全体像や初期の分配について知ることで、ICPの価格が1年近く下がり続けている理由も理解できます。

ある意味、ICPの価格が下がることに慣れますw

ぜひ、ICのトークン設計の全体像を知ってもらい、NFTや他のプロジェクトを楽しんでもらう入り口につながればと思います。

 

ICPトークン設計の全体像を解説【基礎理解】

ICPトークン設計の全体像はこちらのとおり。

 

Tokens and cycles

ICPを手に入れる方法が①、ICPを使う方法が主に②〜④の3つの方法です。

今回は、この①〜④にテーマを絞って、トークン設計を解説していきます。

 

①ICPを取得する4つの方法

ICPを取得する方法として、基本は次の4つあります。

 

✓Binanceなどの取引所から直接購入する

✓ガバナンスに参加した報酬として受け取る

✓インターネットコンピュータ協会(ICA)またはDFINITY財団を通じて、交付を受ける

✓ノードプロバイダーとして計算能力を提供する報酬として受け取る。

 

ガバナンス参加報酬として、NNS(Newron Network System) へのステーキングやガバナンスへの投票でもらうことができるので、興味がある方は次の記事をどうぞ。

 

②開発のためにCyclesに変換される(Convert to cycles for development)

②開発のためにCyclesに変換されます。

Cyclesは、要するにイーサリアムの「ガス代」です。

しかし、ガス代を負担する人がイーサリアムとは違います。

 

イーサリアム ⇒ エンドユーザーがガス代を負担

ICP ⇒ 開発者がガス代を負担

 

具体的には、開発者がCanisterスマートコントラクトにCyclesをあらかじめチャージしておいて、使用されます。

Cyclesの価格はステーブルであり、1SDRあたり1兆サイクルで固定されています(参考記事)

SDRとは、国際通貨基金(IMF)が創設した国際準備資産のことで、米ドルでのSDRの価値は毎日決定されIMFホームページに掲載されます。

価格がステーブルで安定していることに加えて、計算とストレージにどの程度のCyclesが必要であるか決まっており、開発者にとっては開発資金の目処を立てやすくなっています。

 

余談ですが、リバースガスモデルのため、大多数のインターネットユーザーが現在のインターネットを使うように、知らないうちにInternet Computerを基盤とするプロダクトを使う未来がくるかも、なんて素人予想しています。

一方で、「リバースガスモデルであるため、開発者に負担がかかるのでは?」と色々調べていましたが、一概にそうとも言えないようです。

例えば、上のストレージの例では、「スマートコントラクトデータのオンチェーンでのストレージコストは、年間で1GBのデータにつき5ドルしかかからない」ため、業界で最安とのこと。

 

③他の資産と交換する(Trade as assets for other assets)

③他の資産、NFTやDeFiのLPトークンと交換するために使用します。

特に、2022年02月現在、ICでワイワイしているのはNFTですね。

 

 

こちらのとおり、ICのNFT(Entrepot)は1週間単位でも着実に伸びてきています。

2/25の週の時価総額は、2/7の週の約2倍。

また、1位のBTCFlowerはフロアプライスは、日本円にして60万円程度、つまり2ETH程度になりました。

 

一方で、DeFiはまだまだこれからです。

やっとSonicでLPを組めるようになった程度。

LPの組み方が知りたい人はこちらの記事をどうぞ。

 

④ガバナンスのためにニューロンへロックする(Lock up in neurons for governance)

ガバナンスのために、NNS(Network Nervous System)へICPをロックし、また、投票でガバナンスへ貢献することで報酬を得ることができます。

いわゆるStakingですが、ロック期間(“Dissolve delay”と呼ばれています)に2点大きな特徴があります。

 

ロック期間の特徴

✓半年以内だと利息がつかないため、Min1年〜Max8年の長期間ロックとなる。

✓一度設定したロック期間について、期間を伸ばすことはできるが、短くすることはできない。

 

このように、年単位の長期投資を基本とし、ICを長期間応援してくれる人にガバナンスに参加してもらえる仕組みになっています。

そして、このニューロンへのロック期間が上場当初から今までのICP価格低下にも密接に関係しています。

 

上場当初のICP暴落事件の原因はシードラウウンド投資家の売り圧

さて、いよいよ本題に入ります。

 

結論として、上場当初にICPが急激に暴落した原因は、シードラウンドの投資家の売り圧です。

2つの記事(これこれ)を参考に説明します。

さっそく、2017年に遡り、シードラウンドの投資家がトークンを購入した金額やトークン保有数をみていきましょう。

 

1トークンを3円(0.03$)で購入できた

Seed Round, Feb-2017: This round was advertised by a tweet and open to the public by downloading a web extension. Dfinity raised CHF3.9 million (US$3.9 million) from 370 participants, at a valuation of $16 million, or a price of $0.03 per token.

”An Introduction to Dfinity and the Internet Computer” 参照

シードラウンドである2017年2月。このラウンドはツイートで宣伝され、ウェブ拡張機能をダウンロードすることで一般に公開されました。

DFINITYは370人の参加者から390万スイスフラン(390万米ドル)を調達し、評価額は1600万ドル、1トークン当たりの価格は0.03ドルでした。

 

現在のトークン価格を比較してみます。

 

1トークン価格

✓シードラウンド参加時:0.03$

✓今(2022年02月現在):19.85$

 

こちらのとおり、驚きの660倍です!

 

1人あたり約31万トークンを保有していた




”An Introduction to Dfinity and the Internet Computer” 参照

こちらは、初期のトークン分配の割合です。

シードラウンドの投資家へは全体の24.72%、115,986,694 IPC が分配されました。

 

そのため、115,986,694 ICP  / 370 人 = 31万 ICP となり、

1人あたり平均で31万ICPを得ることができた計算です。

とてつもなく多いですね。

 

投資家の利益は6億円以上である

価格とトークン数の情報をもとに、シードラウンドの投資家の利益を計算してみます。

 

初期と現在の1トークンの価格差が 19.82$なので、

単純計算で利益は、19.82$ × 31万 = 610万$(約6.1億円)となります。

 

実際には、Stakingやガバナンス報酬が上乗せされるため、もっと多いはずです。

シード投資家は大成功すぎて、うらやましいですねw

 

ニューロンのロック期間が徐々に解除されて市場に流れる

ここで大切になってくるのが利確のタイミングです。

投資家のトークンは、ニューロンへ長期間ロックされているため即利確できず、ロックが解除された後に利確できるため、徐々に市場に流れる仕組みになっていました。

 

For each investor, their seed round tokens were split into 49 neurons, which is ~6.4k tokens per neuron. Each neuron was pre-aged to 1.5 years. Each neuron had a dissolve delay of 30 days more than the previous neuron (plus or minus a few days to spread it out a little bit). So the first neuron had a dissolve delay of 0 days, the second neuron had a dissolve delay of 30 days, and so on, until the final neuron had a dissolve delay of ~4 years.

”When Will the ICP Price Stabilize?” 参照

各投資家のシードラウンドトークンは49ニューロンに分割され、1ニューロンあたり6.4kトークンとなっています。各ニューロンは1.5年にプリエイジされました。

各ニューロンは、前のニューロンより30日多く(少し分散させるためにプラスマイナス数日)溶解の遅延があった。

つまり、最初のニューロンのロック期間は0日、2番目のニューロンのロック期間は30日、といった具合に、最後のニューロンのロック期間は〜4年ということになります。

 

このように、ロック期間を分散させる設計を作った結果、上場時にシードラウンド投資家の売り圧で暴落となった後も、徐々に今まで下がり続けているというわけです。

シードラウンド投資家はめちゃ売りたいわけで、そりゃ下がりますわ!!!

 

これからICPの価格はどう変わるのか

現在も、毎月3M~5MものICPが、ニューロンのロック期間が終わり市場に供給され、売り圧になっています。

 

では、この売り圧がいつまで続くのか。

反対に需要面ではどのように盛り上がっていくのか。

 

ここからがまた面白いところで、実はICPのニューロンのロック期間のデータがIC NETWORK STATUS で確認できるため、循環供給量の増減からICP価格をある程度予測できます。

 

そこで、2022年内のICPの価格動向が気になる方は、こちらの翻訳記事を。

 

もっとスパンを長くして、年単位の価格動向が気になる方は、こちらの翻訳記事をどうぞ。